おたくのお子さん、かかとをつけてしゃがめますか?

近年、子どもの体力、運動能力が著しく低下していると言われています。原因としては、国民全体のライフスタイルや食生活の変化、運動能力よりも学力・知識力を尊重するという意識の変化など、様々な理由が挙げられます。

子どもの頃から老化現象!?

 
体力・運動能力低下の弊害にはどのようなものがあるでしょう。総じて言えば“自分の身体をコントロールする能力の低下”が引き起こされるという心配があります。簡単な例を挙げると、スキップができない、リズムに合わせて体を動かせない、といったものから、転んだ時とっさに手をつくことができず、顔をぶつけて歯が折れてしまう、顔のあたりに飛んできたボールを捕ったりよけたりできずにボールが目に当たり、眼球を損傷するなど、ケガにつながる場合もあります。
 
「ウチの子、大丈夫かしら?」そう思ったら、お子さんの運動能力をチェックする簡単な方法があります。それは、
 

「立った状態から、どこにもつかまらずに踵(かかと)をつけたまましゃがみ、そのまま静止していられるか」

 
というものです。要はただしゃがむだけなのですが、大事なのは「踵をつけたままで」「静止していられるか」の2点です。ただしゃがむことは難しくなくても、しゃがむとかかとが浮いてしまったり、しゃがんだ時にバランスを崩して手を付いたり、尻餅をついてしまう、という子どもが驚くほど増えているそうです。

こうした症状は「ロコモ症候群(ロコモティブ・シンドローム)」と呼ばれています。本来、関節症や筋力・バランス能力の低下など、加齢・高齢による運動器の機能不全によって引き起こされる症状、いわば老化現象なのですが、それが現代の子どもたちに増えていると言うのです。

スポーツを習っているだけじゃダメ?

 
普段あまり体を動かさない、運動があまり好きではないという子であれば、慢性的な運動不足が直接の原因であることは明白です。しかしながら、普段から運動系の習い事をしている子の中にも同じ症状の子がいる、という調査結果もあります。その一因としては、習い事という特定の運動だけに偏ることで、他の運動をするための柔軟性やバランス能力が備わっていないからだと言われています。
 
つまり、ひとつの運動を長時間やることよりも、跳んだり跳ねたり、蹴ったり投げたり…と、全身をバランスよく使い、体の柔軟性を養うことができるように、さまざまな運動・体を動かす遊びにいそしむことが大事だということです。
 
毎日たった1分間、片足立ちやスクワットをするだけでも効果的です。また「体を動かすことが嫌い」というお子さんも、まずは簡単なバランストレーニングから取り入れてみてはどうでしょう。例えばズボンやパンツ、靴下を履くとき、座ったまま履いていませんか?そんなときは是非、立ったままでやらせてみてください。自然と片足立ちの姿勢を取らせることができますよ。